製品紹介

特殊舵

シリングラダー

シリングラダー

概念

高さ・幅・上下端板・魚型水平断面を最適設計、舵角の範囲は従来の2倍、左右に70度に拡大

シリングラダーは、プロペラ後流を有効に利用することを設計思想として、舵の高さ・幅・上下端板・魚型水平断面を最適設計することと、舵角の範囲を従来の2倍、左右各70度に拡大することを特色とする舵です。
すなわち推進抵抗を普通舵と同等としながらも、操縦性の向上、航海中の保針性の向上と、緊急時の安全性の向上をはかったものです。

構造

シリングラダーは、一体構造でありメンテナンスの必要な可動部分が水中にはありません。
耐氷構造に適する頑丈な構造にすることも容易です。

構造

特性とその効果

特性 効果
舵の揚力が大きい(図-A参照)
約30%大きい揚力係数を持つ
  • a)旋回半径が小さい
  • b)アドバンスが小さい
舵角70度で前進推力がゼロとなり、横推力だけとなる
  • a)その場旋回が可能
  • b)岸壁への横移動が容易
  • c)バウスラスターとの併用により船の真横移動、斜め前への平行移動が可能
  • d)スタンスラスターの装備は不要
後進時の舵揚力も大きい(図-A参照) 後進時にも舵が効き易い
保針性が良い
  • a)船の蛇行が少なく操船が安定する
  • b)フラッピングが少なく燃費節減に寄与する
上下端板の2次的作用がある 縦揺れが減少する
水中に可動部がない 保守が容易で保守費用が削減できる
総合して経済効果は勿論のこと、船舶の運航中の安全性を高め、さらに乗組員の労働時間短縮、肉体的疲労軽減と精神的緊張の緩和に役立ち、海難事故の減少に寄与し、信頼感を高めます。

図-A
シリングラダーと各種舵の揚力係数比較(水槽試験結果)

図-A
  Fish Tail Rudders Conventional Rudder(NACA0025)
Velocity 2.0m/s 2.0m/s
Area 0.103m2 0.125m2
Taper 1.0 1.25
Aspect Ratio 0.853 0.98
Reynolds No. 0.604×106 0.619×106
Test Results by HSVA Hamburg

種類

シリングラダーには、次の5種類がありどのような船にも装備できます。

01
シングルシリングラダー(モノベックシリングラダー)

一軸の推進器システムを装備した船舶用の1枚舵です。
下部ピントル型と吊舵型があります。

02
ツインシリングラダー

ニ軸の推進器システムを装備した船舶用の各軸系にそれぞれ1枚を装備した計2枚の舵構成です。

03
オーシャンシリングラダー

外洋航行船用として開発したシリングラダーで、普通舵より推進抵抗が少なく、かつ操舵時の舵揚力が普通舵より大きい画期的な安全航行用舵です。

04
マリナーシリングラダー

大型船用にシップ・アンド・オーシャン財団の補助を受け開発した、マリナー型の大舵角、高揚力シリング舵です。

05
ベクツインラダー

一軸固定ピッチプロペラの後に特殊翼型の二枚舵を装備します。
プロペラを前進回転に保ったままジョイスティックの操作によりホバリングを含む360度全ての方向に自由に推力の大きさを変えられるシステムです。停船距離が半減し、後進の操船が安定して行えます。

型式

シリングラダーには、次の3種類の舵の支持型式があります。

下部ピントル型

下部ピントル型

吊舵型

吊舵型

マリナー型

マリナー型

下部ピントル型シリングラダー装備

下部ピントル型シリングラダー装備
『M.V.Hal Dean』78,000DWTシャトルタンカー

IMO関係

シリングラダーは、操舵に対する船の応答の時間遅れが少なく、舵角とその舵角に対する定常回頭角速度の比が大きい、つまり舵効きが良いので、旋回におけるアドバンスもZ試験におけるオーバーシュートアングルも比較的小さく、普通舵の船に比べればずっと有利です。

IMO関係

シリングラダー/普通舵装備船の
試運転旋回試験の比較図

装備船

シリングラダーの代表的な装備船を下の表に示します。
装備船の中で最大は78,000DWTのシャトルタンカーで、最小は19トンのプッシャーボートと、幅広い大きさとあらゆる種類の船に採用され好評の内に稼働中です。
船舶の安全運航と、離着桟を短時間で容易に行うことができることから、今後も一層の需要が見込まれています。

船種 垂線間長Lpp(,m) 総トン数GT 主機馬力(ps) 基数 船速Vt(kt)
掃海艇 57.70 490 2
大型巡視艇 87.00 1,000 2
漁業取締船 57.00 490 1
漁業調査船 76.00 2,000 3,000 1 17.0
地質調査船 80.50 2,126 2,100 1 17.3
高等商船練習船 46.00 230 1,300 1 14.5
シャトルタンカー 231.50 78,000 13,000 1 15.5
ケミカルタンカー 102.00 6,000 3,270 1 13.5
タンカー 117.00 5,944 6,080 1 16.3
バルクキャリア 175.00 44,398 12,750 1 17.3
特殊コンテナ船 95.00 4,053 4,150 1 14.2
PCC 6,000台積 190.00 52,479 17,020 1 21.3
RO/RO船 150.00 8,280 16,200 1 23.0
セメント運搬船 152.00 13,787 6,960 1 15.7
石灰石運搬船 144.00 8,800 5,600 1 15.0
廃棄物運搬船 112.00 6,526 4,050 1 15.2
フェリー 105.00 2,200 4,050 2 22.5
救助船兼曳船 77.00 2,300 5,000 2 18.0
プッシャーボート 11.95 19 800 2 10.0
遠洋鮪延縄漁船 56.00 499 1,000 1 14.0
シングルシリングラダー装備船

シングルシリングラダー装備船
『M.V.Esso Plymouth』の真横移動操船